ジェンダーギャップ。男女格差。
世界経済フォーラムは2006年からジェンダーギャップインデックス、男女格差指数、を発表しており、2022年版が出てきました。
これは、国ごとに、政治、経済、教育、健康の分野で、男女に格差があるのか、ないのかを点数化して順位を付けたものです。完全に平等だと1点、完全に不平等だと0点がつきます。
今年は146か国に点数がついています。
日本の総合評価は0.65点で146か国中116位。
主要先進国で最下位、さらに東アジア、太平洋でも最下位でした。
1位のアイスランドは0.908点で13年連続1位、ドイツが10位、フランスが15位、イギリスが22位、アメリカが27位、韓国が99位、中国が102位、最下位がアフガニスタンでした。
アイスランドがこれだけ男女平等になっている理由の一つは、従業員50人以上の企業に対し、男女いずれかの性がもう一方の性の4割を下回らないようにすることを義務付け、さらに、従業員25人以上の企業に対し、同一労働をしている男女の同一賃金の証明を義務づけるような法律を作るなど、男女平等のための取り組みをしっかりしていることです。
分野別では、日本の教育は完全に男女平等、満点の1点で第1位、健康は0.973点で63位と高得点でした。
教育について少し突っ込ませてもらうと、何年か前に、複数の大学の医学部の入学試験で、女性の受験生の点数を最初から差し引いて、男性を有利にしていたという事件がありました。
教育を受ける権利は本当に男女平等と決められているのですが、それを現場で行う人たちの中に男女差別の気持ちが残っています。
日本の教育は世界一男女平等だなんて簡単には喜んでいられません。
また、健康分野の点数は、男女の平均寿命や出生率といった評価ポイントで、高得点をいただいています。
ただし、健康を守る医療の現場では、医学部入試で問題があったように、男女格差があるのではないかと心配になります。
そして、良くないのが経済と政治です。
経済の分野は121位でした。内訳は、
- 労働参加率の男女格差 83位
- 同一労働での男女賃金格差 76位
- 収入における男女格差 100位
- 管理職についている男女差 130位
日本では、男性を優先的に出世させて、たくさんお給料をあげているようです。
若い世代を出世させる側の人たちは、男性が圧倒的に多いことは言うまでもありません。
この人たちは、男性の方が優秀とか、女性は管理職になりたがらないとか言います。
そもそも男女には脳の違いがあり、同じことを見たり聞いたりしても違う考え方をします。
この違いを受け入れ活かすことこそ、これからの世の中に絶対に必要なのですが、今男性で占められている会社や組織の男性の偉い人たちは、どうも、自分と同じように考えない、行動しない女性の部下をやる気がない、能力がない、と評価するようです。
女性の側も、出世すると、自分らしさを抑えて、男性社員と同じようにふるまわなければならないので、そんなことを我慢するくらいなら出世する必要はないと思うのはある意味当然だと思います。
また、女性は出産の機会にいったん仕事を離れざるを得ません。
そして、同じ仕事に戻ることが難しく、戻ったとしても、離れる前のようにバリバリ仕事することも難しいようです。
明らかに男性社員たちが女性の職場復帰を妨害し、なんとなく気持ちが通じやすい男性社員だけでかたまろうとしているとしか思えません。
政治の分野はもっとひどく、139位です。後ろには7か国しかいません。内訳は、
- 国会議員の女性割合 133位
- 閣僚の女性割合 120位
- 過去50年の女性首相 0点 78位
とにかく女性の国会議員が少なすぎます。
数的に不利な女性議員は、男性に使われる立場に追い込まれやすいので、自分の力で上に上がっていくことが難しいし、女性が望む政策が通りにくくなっている感じがします。
日本の人口は、女性の方が少し多い。
国民を代表して政治を行うのが国会議員なのですから、国会議員の数は女性の方が少し多いくらいでなければならないと思います。
2022年の参議院選挙では、女性候補の割合も女性当選者の割合も少し増えたようですが、まだまだ足りません。
一部の女性候補から聞かれるのは、男性候補者、議員の先輩、有権者からセクハラを受けることがあるということ。
女性を表舞台に上げないための、男性による妨害工作が、日本のあらゆるところで起こっているようです。
男女差別の考え方を持っている男性の気持ちは絶対に変わらないので、できるだけ早く、企業における女性正社員の数、管理職の数、国会議員の数を男女同数にしなければなりません。
同じ人数がそろわないと、女性たちはいつも不利な状況に追い込まれてしまいます。
会社でも政党でも、女性の比率目標を出しますが、半分には程遠い数字です。
これも、男性たちが、数字目標を作って頑張っています、ということを世の中にアピールしているだけです。
しばらくは、社会に出た女性たちは、このように男性が牛耳る社会で生きにくさを感じるかもしれませんが、妨害を少しずつ打ち破って、世の中を変えていってもらいたいです。