脳のワーキングメモリー
脳のワーキングメモリーって聞いたことがありますか?
メモリーだから、視たこと、聴いたこと、覚えたことを記憶する場所だと思う方もいらっしゃるかと思いますが、ちょっと違います。
ちなみに、このような情報は脳の海馬という部分に一時的に保存され、そのうちほとんどの情報は短期間で消え去ります(これを短期記憶と呼びます)。一部の情報は海馬から大脳皮質という部分に送られ、長い間記憶されます(これを長期記憶と呼びます)。
ワーキングメモリーとは、様々な情報を組み合わせ、分析し、意思決定を行う脳の作業領域のことで、脳の前頭葉が中心になります。
例えば、車を運転しているときに目の前に人が飛び出してきたとします。左にはガードレールがあり、右には対向車がいます。
ワーキングメモリーでは、目の前の状況、車の操作方法、車のスピードと減速の可能性、危ない・怖い、驚いたという感情、人をはねた時に自分自身と被害者に起こること、ガードレールにぶつかった時の損害、対向車にぶつかった時の損害といった、今見たり聞いたりしたばかりの新しい情報、過去の記憶、知識、経験、計算、感情が総動員され、自分は何をするべきか、ということが瞬時に決定されて実行に移されます。
ワーキングメモリーがうまく働けば、車は減速しながらガードレールに向かい、どこにもぶつからずに止まる可能性もあります。
ワーキングメモリーがうまく働かないと、パニックになって、ブレーキとアクセルを踏み間違えて、歩行者をはねてしまうかもしれません。
こんな実験があるそうです。
子供に「ここにお菓子が一つある。今から自分は出かけるけど、今すぐに欲しければあげるよ。でも、帰って来るまで食べずに待つことできればお菓子を二つあげよう」というと、すぐにお菓子を一つ食べる子と、我慢して後で二つ食べる子に分かれるそうです。
子供はワーキングメモリーでどっちが得かを考えて決めています。
この決定をするときの脳の動きを調べると、すぐにお菓子を一つ食べた子供は、意思決定をするまでに、偏桃体と呼ばれる感情をつかさどる部分が働き、ワーキングメモリーのある前頭葉はあまり働かなかったそうです。
逆に我慢した子供は、前頭葉が良く働いていたそうです。
この実験には続きがあって、この子供たちが大人になった時に同じような実験をしたそうです(もちろん大人なのでお菓子で釣るわけにはいきませんが)。
子供の時に目先の利益を優先した人は、大人になっても同じく目先の利益に飛びつき、我慢した子供は大人になっても思慮深い意思決定をしたそうです。
ワーキングメモリーは3歳頃から発達を始め、30歳から衰えてくるそうです。
ちなみに、SNSをしている時には、脳の報酬系を呼ばれる快楽を求める部分が働き、ワーキングメモリーのある前頭葉は働きません。
脳の発達期にSNSを長時間行うことが、子供の将来にどれだけ悪影響を及ぼすか、想像がつきますね。
目先のお金に釣られて、いかにも危ない投資に手を出したり、犯罪に加担させられたりしないようにしないといけません。
子供のころは、脳の様々な部分、機能が急速に発達します。
この時期にワーキングメモリーを刺激することはとても意味があります。
ワーキングメモリーを鍛える方法は提唱されています。
このホームページでは、ワーキングメモリーを刺激する動画も準備していきます。